
ご質問頂いた案件について分かる範囲で記したいと思います (o'ω')ノ
主に クッキー(cookie) に関するお話です。
コメント管理に関する案件
ブログアドレス fc2.com のユーザーが fc2.net アドレスのユーザーにコメントをした際(逆もまた然り)、そのコメントが 管理画面に出てこないことがある というものです。
「絶対コメントしたはずなのにリストに出てこない。何故?」という感じですかね (´・ω・`)
結論から言うと、プライベートモードを利用していた こと、そして クロスドメインである ことが原因です。
クッキーとは?
以前「クロスドメイン」に関する記事を書きました。

「SameSite属性対応 & ブログ全体のSSL化につきまして」というアナウンスがありました
避けて通れるはずもない SSL化 (o'ω')ノ 運営側も強制執行のタイミングを見計らっている、という感じでしょうか。...
この中で クッキー についても少し触れているんですが、クッキーというのは ブラウザがユーザーの行動履歴を一時的に保存する仕組み のことです。「ブラウザが」に下線を付けた意味は後述します。
日本で見かけたことは無いんですが、アメリカに行くと中華料理でよく fortune cookie (or magic cookie, フォーチュンクッキー or マジッククッキー) というお菓子が出てきます。これが語源で、クッキーの中には何かしらその人物の行動を予測する文言が書かれた紙が入っています。要は「占い」ですね。webのクッキーについても「これまでの行動」「予測される行動」に関わっているので由来して「クッキー」と。
具体的には、例えば一度ログインしたら特定のタイミング以外では再ログインを要求されない(ログイン状態の保存)ですとか、また例えばネット販売でページを移動してもカートの中身が消えてしまわない(カート内容の保持)といったもの。これらを担うのがクッキーです。
ちなみにFC2ブログの「再ログイン要求のタイミング」については
- IPアドレスが変わった, 中継基地局が変わった, Wi-Fiから4Gや5Gに変わった(vice versa) など
- 先回のログインから長い月日が経過した
など。前者については閲覧中に変更があった場合はシームレスで行動できます。例えば
Wi-Fiでアクセス → 一旦ブラウズ終了 → 4Gでアクセス
このパターンだと再ログイン要求。
Wi-Fiでアクセス → ブラウズ中 → Wi-Fiが途切れたので4Gに自動で切り替わり → 再ログイン要求なし
補足情報として。
* vice versa = 「逆も同じ」の意味
party の意味
クッキーの役割と意味を概ねご理解頂いたとして、本件について最初に答えを挙げているんですが、「管理画面のリストから抜け落ちている」というのはつまり「該当の行動履歴が記録されていない」ということです。何故起こるのかが
- fc2.com ← → fc2.net のクロスドメイン
- プライベートモード(シークレットモード, プレイベートブラウズ などブラウザによって名称が様々)
ということで、クッキーの発行というのは ブラウザが行っている という点がまず重要です。そしてプライベートモードというのも 各ブラウザの機能である という点も大事。
特に「クッキーを発行するのはブラウザ」というのを知っていれば
「さっきChromeでログインしたのにFirefoxに変えたらログインされていない。何故だ?」
「PCでログインしたはずなのにスマホに変えたら非ログインになっている。何故だ?」
といった疑問に頭を悩ませる必要がなくなる(笑)
この手の質問はQ&Aでサイトで割とよく見かけますよね。
掲載したブログカードの記事では「クロスドメイン」の説明と、同じFC2ブログであっても fc2.com と fc2.net はドメインが違うのだから行き来をすればそれはクロスドメイン(ドメインまたぎ)だよ、という説明を行っています。
ではクッキーはどうかというと、これもやはり同じです。その前によく目に耳にする「サードパーティ」という用語について本当に理解しているかを確認。
英語的な意味と相関図は以下の通りです。
一般的にはこういうことですね。当てはめると、
FC2 = 1st party
FC2ブロガー = 2nd party
という図式になります。FC2ブログとそのユーザー「以外」は全て 3rd party となります。ブログサービスに限るならば、AmebaやはてなやLivedoorなんかは相関関係としては 3rd party、つまり無関係なサービス、ということですね。
この説明は英単語的なもので、実際のwebでは後ろに何が付くかで意味合いが変わってきます。1st party data(データ) と後ろにデータが付く場合は一般的に
1st party data = 自社データ
2nd party data = パートナー企業や顧客から受け取れるデータ
3rd party data = 他社のデータ
という感じです。
で、今回はクッキーなわけですが、クッキーの場合は「発行」という動作を伴いますので、2ndであるブログユーザーがクッキーを発行するわけはありませんから、「1st party cookie」「3rd party cookie」で 2ndは無し。
1st party cookieは サービス提供元(FC2)が発行するクッキー
3rd party cookieは 発行元がFC2以外のクッキー です。
するとここで疑問が出てきますね。fc2.netだってFC2じゃん。
これはクロスドメインと同じで、あくまでもFC2の代表ドメイン(トップレベルドメイン)というのは .com なんですね。セカンドレベルドメインを含めると fc2.com です。fc2.net というのはブラウザからすれば「別のドメイン」であり、クッキーも「別のところから出たクッキー」として認識されます。
みなさんが自身のブログトップページを開くとブラウザのアドレスバーにURLが出ますよね。私の場合は
こうして末尾が fc2.com です。ブラウザはここを見てpartyの判断をしています。つまり発行クッキーがこの場合だと fc2.com 以外であればそれは 3rd party である となるわけです。fc2.net は fc2.com ではないのですから、ブラウザからすれば同じFC2ブログかどうかは関係なく「3rd」です。
これはFC2ブログに限ったことではなくてですね、例えばはてなブログなんかでも(無料アカウントでも)ドメインが選べるはずで、寧ろFC2よりも入り組んだシステムになっています。なのでログイン状態の保持なんかで実際に起こっていた(いる)はずです。
ドメインの紐付け
もう一度同じブログカードを掲載します。

「SameSite属性対応 & ブログ全体のSSL化につきまして」というアナウンスがありました
避けて通れるはずもない SSL化 (o'ω')ノ 運営側も強制執行のタイミングを見計らっている、という感じでしょうか。...
まとめの章に dctanalyzer.php のファイルは 紐付け にめちゃくちゃ重要だから、掲載を阻害したり意図的に削除してはダメ! といったことを書いてます。これこそがクッキー関連をなにがし上手くゴニョゴニョしているファイルなのですごく重要。
プライベートモードというのは単純な説明をすると「キャッシュやクッキーに関するゴニョゴニョを禁止するモード」なのですから、その性質を考えれば本件も納得できるのではないでしょうか。
ついでなのでこちらもよくある質問として「プライベートモードなのにキャッシュが発生している」件について。プライベートモードでもブラウズ中はキャッシュは活きてます。タブを閉じたときに消去が行われる のがプライベートモードです。
対処法
対処法といっても
- トップレベルドメイン違いのFC2ブログにコメントを残す場合はプライベートブラウズを利用しない
- ブラウザ設定の「サードパーティの Cookie をブロックする(Block third-party cookies.)」を無効にする
ぐらいです。で、既に.netで開設されている方が「.comに変更した方が良いんじゃないか」という発想にもなると思うんですが、以下の点にお気をつけください。
- ドメインは気軽に変更するものではない - アクセス激減の恐れアリ
- fc2.net から fc2.com に変更はできるが、逆は不可
例えば.netから.comに変更し、その後アクセスが芳しくないのでやはり.netに戻したい、と考えたとしても できません ので注意が必要です。
新規開設者さんに対しては、単純なことを言えば代表ドメインの.comにしておくのが一番手堅いとは言えるかと思います。FC2運営が新規ユーザーさんに「好きな方を選んでいーよ!」というのはそれで良いと思います。FC2ブロガーさんはFC2ブログ関連の指南を行っている方も割と多いので、そういう立場の方は「できれば.comで…(ボソッ)」とかにしておくと良いかもしれない(笑)
まとめ
あと補足情報としては、これらの流れで一番厳しいのは Safari なので、所有している方は気にしておくと良いかもしれません。そしてGoogle Chromeも3rd party cookieを完全に廃止する決定を既に行っていますので、そこもFC2運営が上手くやってくれるでしょう。たぶん ←
最後にこれもついでですが、Google analyticsが3rd party cookieにならない仕組みについて。cookieが関係するのは2度目以降、つまり再訪時なので、初回アクセス時に各サイトをオーナー登録することで1st party cookieとなります。ブラウザ側ではanalyticsのクッキーはGoogleが発行している、という認識ではなく表示しているサイト自身、と解釈されます。今後この「オーナー登録」というのが鍵になるかな、と思います。
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